東日本大震災にあたって「安全で適切な乳幼児栄養を支援する声明」 共同声明―母乳育児団体連絡協議会・災害時の母と子の育児支援共同特別委員会 育児支援共同特別委員会・UNICEF ・UNICEF 東京事務所

このたび東日本大震災に伴う激甚な災害に遭遇された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。また、 亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の方々に衷心よりお悔やみ申し上げます。被災された方々の一日も早い体とこころ、生活の回復と、被災地域の復興を心から祈念いたします。

 

 母乳育児団体連絡協議会、および、災害時の母と子の育児支援共同特別委員会は、乳幼児の貴重な命を一 秒、一日でも安全に先につなぐための支援とともに、困難を極める中で育児をしている母親、ご家族への支援、そして、支援者の方々への後方支援を行ってまいります。

 

 地震や水害などの災害が起こると、「災害弱者」としての乳幼児と母親には特別な支援が必要です。物資が 欠乏し衛生的な環境が保てない状況下においては、乳幼児の栄養に対する適切でタイミングのよい支援を行 うことにより健康を損なうことなく、また多くの命を救うことができます。

 

 現地で支援に当たられている方々におかれましては、災害時であるからこそ、乳幼児には母乳を少しでも 多く与えられることがその子の健康と命を守ることになること、また人工乳が必要な場合には安全で適切な 調乳で与えられることが必須であること等を、母親やその家族、周囲の人たちに、伝えていただきますよう お願いいたします。

 

支援者の方々へ

 

 被災地でこれから生まれてくる新生児には、「授乳・離乳の支援ガイド」(厚生労働省, 2007)に基づき母乳 育児の確立に向けた確実な支援を行いましょう。

 

 母乳育児の支援を進めるポイント~もう一度、母乳育児の意味を考え、支援を進めて行くために~

  無理せず自然に母乳育児を実践できるように、妊娠中から出産後の環境を整えることは、赤ちゃんを「育てる」こ とに自信をもって進めて

 いくことができる環境を整えることでもあります。

 ・すべての妊婦さんやその家族とよく話し合いながら、母乳で育てる意義とその方法を教えましょう。

 ・出産後はできるだけ早く、母子がふれあって母乳を飲めるように、支援しましょう。

 ・出産後は母親と赤ちゃんが終日、一緒にいられるように、支援しましょう。

 ・赤ちゃんが欲しがるとき、母親が飲ませたいときには、いつでも母乳を飲ませられるように支援しましょう。

 ・母乳育児を継続するために、母乳不足感や体重増加不良などへの専門的支援、困ったときに相談できる場所づくり や仲間つくりなど、社会

  全体で支援しましょう。

 

母乳で育てている女性には、母乳分泌不足への不安感を解消し必要なら一時的分泌不足に適切に対応するこ とにより、母乳育児が継続できるような支援を行いましょう。

混合栄養法で育てている女性に対しては、母乳分泌が維持増加できる支援を行いましょう。

混合栄養法、および人工栄養法で育てている母親に対しては、適切量を判断して適切な濃度の人工乳による 安全な授乳が行えるよう支援しましょう。

 

粉ミルクを救援物資として被災地に届けるときには、安全な水と燃料の確保、そして必要な乳幼児のみに必 要とする期間継続して届くことが必須です。調乳中は 70 度以上が保てるように十分高温のお湯を使用するこ とやコップなどの清潔な授乳器具による授乳方法が確実にできるように、母親への情報提供と支援が重要です。

 

母乳で育てている女性への励ましの言葉と共に、不安感から救援物資の粉ミルクを使うことで母乳分泌が低下することのないような周囲の支援が必要です。授乳コーナーの設置や妊産婦への飲食物の優先的な提供などが望まれます。

被災地域にあっても、子育ての基本はしっかりと赤ちゃんを抱っこし、目をみて、話しかける母子間の素朴な交流が基本となります。

 

詳しくは、今後発表予定の乳幼児を育てている母親向け情報・ホットラインの開設情報、支援者向け情報を ご覧いただき、配布をお願いします。

 

「母乳育児団体協議会」(日本母乳哺育学会一般社団法人、一般社団法人日本母乳の会、 NPO 法人日本ラクテーション・コン サルタント協会) 「 災 害 時 の 母 と 子 の 育 児 支 援 共 同 特 別 委 員 会 」

            ( ラ・レーチェ・リーグ日本、母乳育児支援ネットワーク、NPO法人日本ラクテーション・コンサルタント協会)

 UNICEF 東京事務所